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農場準備室だより

設定された3つの研修を3年にわたって消化していく岩見沢市の新規就農希望者

むけプログラム。そのひとつめ、「この人は農家として生きていけるのか」を

さまざまな先輩農家さんや関係機関に判断してもらういわば適性検査的な研修を

パスしたことをプログラム作成サイドから承認され、つぎのステップへの参加資格を

先月末にいただいた。

10月からさっそくはじまった1年間のセカンドステージ、さらに市の試験圃場で栽培

のすべてを自力でこなす最終試験をパスするといよいよ農家のだの誕生となる。

で、ふとしたときにうかぶ「農場の名前どうしよう」という問い。自分のなまえは

使いたくない。いま38歳と45歳のわれわれが現役で過ごせるのはせいぜい

20年ちょっと、長くても30年くらいのものだろうと思う。とおい昔に開拓のかたが

血と汗を流しながら開墾して以来大切に扱われてきた重みある歴史とは比べる

べくもないささやかな時間だ。そんなほんの束の間の存在に過ぎないぼくらの

名を土地にかぶせるなんておこがましいというか、なんだかとても気恥ずかしい

のである。横文字もおなじ理由により不採用だ。

考えたのは、その名を耳にしたり口にするだけで凪いだ湖面をまえにしたときの

ような平穏な気持ちになる日本語。野菜わさわさ、じゃんじゃん収穫という

あるべき農園像からは真逆の方向だけど、でもそのほうがとてもしっくりくる。

どんなのがあるだろう。農場にひたっとくっつけられる静かなことば。秋、月、凪、

深海、草原、十一月…。なかなかむずかしい。

おいおい、そんなさきのことを悩むよりもはやく読みなさいよと参考書が

呼びかけてくるけどいまは無視。


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