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大空町で

こんばんは。また訪ねてくださって、ほんとうにありがとうございます。

昨年3月の閉店から1年ちかくにわたって町内に再開場所をさがしていましたがどうにも

見つからず、そんななかでこの春、縁あって大空町に住まいを移しました。

こんなふうな美しい丘陵が連なる、なかなか見所のおおい町です。



そこで何してるかというと、優れた芸術文化の鑑賞機会をひろくまちの人々に提供

する。簡単にいえばそんな仕事を手がける団体の一員に加わえていただき、日々

新鮮なきもちで職務とむきあっています。

「え? じゃあ店の再開はなくなった?」と聞かれると、ひとことでは答えられません。

HUTTEとおなじく斜里岳みあげるロケーションで、という条件がつくなら、イエスと

頷くしかありません。残念ながら。ですが、この町で、前よりもサイズも営業規模も

より縮小したかたちで、という但し書きを加えると一転、可能性は昨年よりむしろ

高まったと捉えることができます。なんだか漠然とした案内で心苦しさもありますが、

いま言えるのはそんな感じ。時間もまだまだかかりますし、場所に心当たりがない状況に

かわりはないけど、少なくとも「これならできそう」とか「それならいけるね」と道筋を

いくつか思い浮かべることができるだけでも、僕らにとっては大きな前進なのです。

おいしいと気に入ってくださったものをまた手渡ししたい。存在がなかったことにされて

いたり、価値が見過ごされているものやことについて、こんな面白いのありますよ?

と提示し、いっしょになって感心したり笑ったりしたい。そんなこころの疼きは店から

離れてしばらくたつ今も依然つよくあって、おかげで僕は落ち着きません(笑)。

そして、そんな僕らの心の声を聞き取ろうとしてくれている方がまだいたなら、この先

も辛抱づよく待っていてくれるなら、それぞれに温めるおもいがだんだんとつみ重なり

ながら像を結んでいって、まるで雪解け後の地面からぽっと芽がでてやがて花が咲く

ように、いつか形として現れるんじゃないか。僕はそう考えています。というか期待して

います。

2年後になるか、3年後になるかもっと先か。それまで皆さんの気持ちを繋ぎとめて

おく材料もない僕らですけど、でもいつの日か。

では、その日まで。

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